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アガベの育て方【光編】適切な時間・照度・PPFDの値や注意点を解説

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アガベの育て方【光編】適切な時間・照度・PPFDの値や注意点を解説

writer:こと

アガベを育てるのに光が必要というけど
漠然としてよく分からない…。

アガベを育て始めてイマイチ分かりづらいのが光のことですよね。

  • どれくらいの時間光を当てるべき?
  • 照度とかPPFDという単語を聞くけどどれくらい必要?
  • なんで遮光が必要なの?

こういう疑問がよく出てくると思います。

この記事では育成に大切な5つの要素のうちの1つである「光」を詳しく解説しています。

こんな疑問を解決

  • アガベに光を当てる適切な時間・照度・PPFDを知りたい
  • 光を当てる時の注意点を知りたい
  • 強すぎる光の対策方法を知りたい

この記事を読むことで光の適切な当て方が分かり、アガベを健康に育てることができます。

参考程度と考えてもらって
自分の理想の育成方法を構築してみてください

結論!

  • 光は植物にとってもっとも重要な要素の1つ
  • 植物が光を得るためには、太陽光と植物育成ライトが必要
  • アガベはCAM植物なので光を当てる時と当てない時でメリハリをつける
  • 光に当てる時間は12時間程度は必要
  • 必要な照度は30,000ルクス~60,000ルクスまで
  • PPFDは504~1008程度必要
  • 光を当てる時の注意点は3つ「気温・太陽の強さ・西日」
  • 光が強い時は遮光ネット・寒冷紗などで対策する

考え方の変化により、結論の一部の数値を変更しています。
変更点は記事内でアナウンスしています。

記事の内容(クリックできます)

光は植物にとって最も重要な要素の1つ

アガベに限らず植物を成長させるためには光をあてて光合成させる必要があります

光合成とは?

植物は光の中のエネルギーを使い、体内で二酸化炭素を有機物に固定させます。

光合成により有機物が作り出され植物の体をつくる元になります。

なので光が無いと植物は成長することができないんです。

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植物が光を得る方法は2種類

現在、植物が光を得る方法はこの2種類になります。

  • 太陽からの日光
  • 植物育成ライト

アガベは特有の光合成をする

アガベ・サボテン・アロエなど乾燥が厳しい場所に成育する植物はCAM植物と言われ、通常の植物とは違った光合成の仕方をします。

結論から言うとアガベを育てるにあたり、CAM植物という特性から光を当てない時間を作りメリハリのある光合成をさせる必要があります。

なぜなのかを以下で解説します。

CAM植物とは?

Crassulacean Acid Metabolism plantの略。

直訳するとベンケイソウ型の有機酸代謝植物という意味です。

乾燥地に生え、葉が分厚い、

  • サボテン科
  • パイナップル科
  • リュウゼツラン科
  • ベンケイソウ科
  • トウダイグサ科
  • 熱帯の着生植物であるラン

など18科以上が対象になります。

どういう光合成をしているの?

CAM植物は、夜のうちに二酸化炭素を取り込み、昼に取り込んだ二酸化炭素を使い光合成をします

通常、植物は昼間に気孔を開いて二酸化炭素を取り込みます。

しかし、乾燥した場所では昼に気孔を開いてしまうと植物内の水分も気孔から出て蒸発してしまいます。

それを避けるために、CAM植物は夜に気孔を開きます

夜の涼しい時間に気孔を開き、光合成に使用する二酸化炭素を吸収。

吸収された二酸化炭素は一時的にリンゴ酸に物質を変換し、朝まで使わず保管されます。

朝になり日に当たると、リンゴ酸を再び二酸化炭素に戻して光合成に使用しています。

【結論】光を当たらない時間を作る必要がある

アガベはCAM植物という性質から夜と認識させて気孔から二酸化炭素を吸収させる時間が必要です。

太陽の光で育てている場合は朝と夜があるためこの点は問題ありません。

ですが育成ライトを使用している場合は、意識的に光が当たらない時間を作りメリハリのある環境を作ってあげる必要があります。

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【光を当てる時間】12時間は必要

太陽以外の光源で光を当てるなら12時間は照射が必要と考えます。

理由は太陽の日の出から日の入までの時間の平均が12時間だからです。

アガベも他の植物と同じ、元は自然に芽生え育つ植物です。

自然の中にもサイクルというものがあるので
同じ環境にするのが良いと考えます!

平均を求めたのは日によって太陽が出ている時間が変わるから

実際の太陽が出ている時間は日によって変わります

これは自転と公転、傾きによって変わるのですが、植物に関係ないので細かい説明は省きますね。

一年の中で一番日が長いのが夏至、反対に短いのが冬至になります。

そのため、夏至に近いか冬至に近いかで長さも数分から数時間と変わってきます。

太陽の出ている時間の平均の求め方

まず、アガベの原産地であるメキシコ・アメリカと日本の夏至と冬至の日の出から日の入りまでの時間を調べ、1日の太陽が出ている時間を調べました。

データを抽出したのは2023年で、各国とも夏至は6月21日、冬至は12月21日でした。

参考にしたのはこちらのサイト

🔗日の出日の入り(世界地名選択) – 高精度計算サイト – Keisan

調べた夏至と冬至の太陽の出ている時間を合算し、2で割って出た時間1日の太陽が出ている時間の平均としています。

日照時間というものもありますが、日照時間は直射日光が地表を照射した時間を指すため、曇りや雨の日はカウントされず時間が少なくなってしまいます

そのため日の出日の入を参考にしています。

日本と海外の1日の日の出・日の入時間を調べてみた

アガベの主な生息地であるアメリカメキシコ、参考として日本の日の出日の入の時間を元に、太陽が出ている時間を調べてみました。

日本

日の出日の入太陽が出ている時間
夏至4:2419:0014時間36分
冬至6:4616:329時間46分

夏至と冬至を足して2で割ると⇛12時間11分

メキシコ(チワワ)

日の出日の入太陽が出ている時間
夏至6:0120:1414時間13分
冬至6:4817:2010時間32分

夏至と冬至を足して2で割ると⇛12時間22分

アメリカ(ロサンゼルス)

日の出日の入太陽が出ている時間
夏至5:4020:0914時間29分
冬至6:5216:499時間57分

夏至と冬至を足して2で割ると⇛12時間13分

  • 日本…12時間11分
  • メキシコ(チワワ)…12時間22分
  • アメリカ(ロサンゼルス)…12時間13分

調べた結果、3つの国の太陽が出ている平均的な時間は約12時間でした。

【再度結論】育成ライトは12時間光に当てたほうがよい

調べた結果を元に再度結論として、太陽以外の光源の場合は12時間は照射が必要です。

太陽の下では日の出から日没までの時間で問題ありません。

育成ライトの場合は育成者が照射時間を決める必要があるため1つの参考としてください。

自分も育成ライトは毎日12時間光を当ててます

ずっと照射を継続してますが、徒長することもなくすくすくと成長しています。

アガベに必要な光量は30,000~60,000ルクス

次に気になるのが光量はどのくらい必要かですね。

これも結論からいうと、アガベに必要な光量は30,000~100,000ルクスです。

これは日本の太陽光の曇りの日から夏前までの晴れの日の照度です。

実際に照度計で細かく測っていたところ、真夏の正午で80,000ルクスあるので、
100,000ルクスは強すぎると判断しました。
きちんと校正を受けた機器で測定していないので正確ではないですが、
現在は30,000ルクス~60,000ルクスまでが妥当ではないかとしています。

ちなみに、観葉植物は最低でも1,000~1,500ルクスの照度が必要と言われているため、アガベは強い光が必要ということが分かりますね。

日本の太陽光の照度

  • 0-200,000Luxの幅広い測定範囲
  • 測った数値を固定できるHold機能有り
  • センサーを傷つけないためのセンサーキャップ付き
  • 暗いところでも表示が見やすいバックライト機能

日本はどのくらいの照度があるのでしょうか。

参考にしたサイト

🔗照度と明るさの目安|大阪市立科学館

明るさの目安照度(ルクス)
真夏の晴天(昼)100,000以上
晴天(昼)100,000
晴天午前10時65,000
晴天午後3時35,000
曇りの昼32,000
晴天日入1時間前1,000
蛍光灯照明事務所400~500
照度と明るさの目安より抜粋

晴天や真夏の晴天の昼は100,000ルクス以上あり、強すぎるため遮光しないとアガベにダメージが出てきます

そのため昼前の照度付近の60,000ルクスを強さの上限

曇りの昼の30,000ルクスを下限としたほうがいいでしょう。

30,000~60,000ルクスまでと言われても、
幅が広すぎてどれがいいのかわからないよ…。

これは株によって必要な強さが変わってくるので、限定的には言えないんだよ

株によって変わるとはどういうことなのでしょうか?

アガベは株によって必要な光の強さが変わる

アガベの光を気をつけるのはこの4点です。

  • 株の大きさ
  • 根の成長具合
  • 光の順応
  • 斑入り品種

1.株の大きさ

アガベは大きな株と子株では必要な光の量が違います。

子株は葉数が少ないので極端に強い光はまだ必要ありません。

2.根の成長具合

根が少ないと光合成に必要な水を充分に吸えません。

光合成に必要な水分が追いつかないため、発根したての株はまだ強い光は必要ないでしょう。

3.光の順応

日陰や半日陰、室内の窓際や光量の弱い育成ライトなど、

光量の少ないところで育てていたアガベを急に強い光にあててはいけません。

強い光が好きなアガベですが、急に環境を変えてしまうと葉焼けしてしまいます

アガベは順応といって徐々に強い光に慣らしていく必要があります。

そのため、置き場所や育成ライトの照射距離を変えて光の強さを調節してあげないといけません。

4.斑入り品種

斑入りのアガベはあまり強い光を必要としません。

これは葉の葉緑素が少ないため、光合成できる部分が限られてしまうからです。

光が強すぎると葉色が悪くなったり傷んだりします

まずは最低ルクスから当ててみる

そのアガベにとって必要な照度が分からない場合、まずは最低ルクスから当ててみましょう。

数日経っても葉焼けしないようなら徐々に照度をあげてみてください。

その植物にあった照度を見つけていくのも園芸の楽しみだと思います。

アガベに必要なPPFDは504~1008程度

アガベに必要なPPFDは500~1680必要だと考えます。

これまでの光量が強すぎるということで、必要な光量の最大を100,000ルクス⇛60,000ルクスに変更して紹介しています。
そのためPPFDを換算した結果、504~1008程度が妥当だと考えます。

この数値は照度から換算したPPFDの値です。

こちらのサイトから算出しました

🔗植物生産における光に関連した単位

太陽光を基準として考えた上で、必要な照度30,000~60,000ルクスをPPFDに換算した値になります。

このようにPPFDが分からない場合はルクスを測ることで分かります

ルクスが高くなると当然PPFDの値も高くなります。

PPFDは光合成量に影響する数値

PPFDとは光合成光量子束密度Photosynthetic Photon Flex Density)の頭文字を取ったもので、

単位は「µmol/m2s」で表されます(記事内では単位を省かせていただきます)

これは、植物が光合成に利用する波長の光を、一定時間・一定面積内に受ける光の粒の量を表しています

ようは植物が光合成を行うために利用可能な光の量を表す指標です。

PPFDの例として、

  • 太陽の直射日光
    約2,000
  • 曇りの日
    約50~100

くらいの値になります。

光を当てる時の3つの【注意点】

光を当てる際には3つのことを注意する必要があります。

  1. 気温
  2. 太陽光の強さ
  3. 西日

1.気温

なぜ気温に注意するのか。

それは、暑さによって株を枯らしてしまう原因になるからです。

アガベには成長に適した温度があり、その温度を超えたり下回ったりすると成長が鈍化します。

その温度は15℃~30℃くらいです。

日本の真夏日・猛暑日と言われる気温になると人間もですがアガベも暑さでバテてしまい、株の体力が落ちてしまいます

そこに太陽の光を長時間当ててしまうと、さらに高温になり植物も耐えられず傷みが出てきます

人間でも猛暑日の中、直射日光に当たり続けると熱射病になり、最悪の場合は命の危険もありますよね。

植物も同じです。

2.太陽の強さ

雲ひとつないような晴れの日は太陽の光がとても強いです。

必要以上の強い光が当たるとアガベの葉の表面が焼けてシワが寄ってきます。

この状態は葉焼けの一歩手前で、そのまま日が当たり続けると緑の葉が白く水分の抜けたような状態になります。

これが葉焼けと言われる状態で、葉焼けしてしまうとその部分は元に戻りません。

3.西日

アガベを育てるに当たり、「西日は強いので当てすぎないように注意」とよく言われます。

でも、実際のところ太陽の光の強さは一定

むしろ空気が澄んでいるため、朝日のほうが光自体は強いんだとか。

ではなぜ、「西日は強い」と言われるのか

これはどちらかというと気温が関係しています。

昼過ぎの西日が差す頃には、地面や空気・建物が温められてすでに気温が高い状態になります。

そのため株の体力が奪われていき、西日の時間に葉焼けや蒸れの症状が出やすくなるのです。

このことから西日に注意と言われるようですね。

光を調節するための対策は2つ

アガベに当たる光を調節するためには2つの対策が考えられます。

  • 半日陰になるところへ移動させる
  • 遮光をする

半日陰になるところへ移動させる

半日陰(はんひかげ)とは1日のうち3時間程度の直射日光が当たる、または1日中木漏れ日のような弱い光が指す明るさのことをいいます。

半日陰に移動することで常に直射日光にさらされているという状態ではなくなり、必要以上の光にあたる危険性が減少します。

デメリットは時期によって太陽の位置が代わり、日の当たる場所も変わるので位置の調節や場所の確保が難しい点です。

半日陰の確保が難しい場合は、手間ではありますが太陽の強くなる時間に日陰に移動するなど対策したほうがいいでしょう。

遮光をする

遮光ネット・寒冷紗(かんれいしゃ)などを張って太陽の強さを和らげます。

遮光率はさまざまなものがありますが、アガベによく使用されるのは20%~50%くらいです。

気温なども考慮し、初夏や秋に入るころは20%、真夏は50%にするなど工夫が必要です。

また、鉢底ネットを上にかぶせるだけでも充分な遮光になります。

遮光ネットや寒冷紗を張れないところでは鉢底ネットをかぶせて遮光してあげましょう

鉢底ネットでの遮光を詳しく解説しています

遮光ネット

寒冷紗(かんれいしゃ)

ネット貼り専用クリップ

遮光ネット・寒冷紗に穴がないためこれを使用します。

挟んで止めることで紐を通す部分ができ、ロープで張ることができます。

まとめ|太陽を基準とした光を当ててあげよう

再度この記事の結論

  • 光は植物にとってもっとも重要な要素の1つ
  • 植物が光を得るためには、太陽光と植物育成ライトが必要
  • アガベはCAM植物なので光を当てる時と当てない時でメリハリをつける
  • 光に当てる時間は12時間程度は必要
  • 必要な照度は30,000ルクス~60,000ルクスまで
  • PPFDは504~1008程度必要
  • 光を当てる時の注意点は3つ「気温・太陽の強さ・西日」
  • 光が強い時は遮光ネット・寒冷紗などで対策する

基準となる光の当て方やイメージが分かれば、そこから自分好みの育成方法を考えることができると思います。

  • 厳しめに育てるなら基準の上限近くの光で育成してみようか?
  • 発根したばかりだから基準の下限寄りの光で充分!

など、それぞれの環境や育成状況などを考えながら光を当ててあげてくださいね!

考えながら試してどうなるのかを観察するのも園芸の楽しさだと思います。

失敗して焼けてしまったり、光が足りなくて伸びてしまったとしてもアガベは強い植物なので仕立て直しも可能です。

怖がらずに色々試してみてくださいね!

アガベの育て方に関する記事はこちら

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