アガベの土ってどんなものを使えばいいんだろう。
配合するにしてもどんな種類があるかわからないし、
どういう組み合わせにすればいいのかな?
今回はこんな悩みに答えていきます。
こんな疑問を解決
- どんな土がアガベに適しているのか知りたい
- 土を配合したいけどどんな特徴があるの
- 配合の組み合わせ方ってどう考えるの?
この記事の信用性
- アガベ・パキポディウムの育成歴2年以上
- 100株以上の植物を育成中
- 毎年、試行錯誤しながら理想の土を考察中
早速ですが結論からいいます。
結論!
- 基本用土は赤玉土をベースに
- 改良用土は通気性・排水性を良くし、多少の保肥性をもたせるものを使う
- 初心者ならシンプルな配合の土ではじめてみる
- 鉢管理と地植えで配合するものは違う
本記事では、アガベの土に関して解説しています。
アガベを初めてすぐにぶつかる「どんな土に植えればいいの?」という疑問。
この疑問について詳しく解説していきます。
この記事の内容です!
植物を栽培するための土を用土という
まずは土の基本的なことから解説します。
鉢栽培や特定の植物を栽培するために使われる土のことを用土と呼びます。
用土は目的別に大きく2種類あり、
- ベースとして使われる「基本用土」
- 土壌改良を目的とした「改良用土」
この2種類の用土を育てたい植物にあった条件に配合します。
基本用土とはベースとなる土
基本用土とは
植物を栽培するにあたってベースとなる土で、用土全体の半分以上をしめている土のこと
をさします。
基本用土は単一用土といって、採取・採掘されたままなにもいじっていない土が主に使われます。
基本用土の例
- 赤玉土
- 鹿沼土
- 黒土
例以外にもたくさんの種類があります。
改良用土は基本用土の足りない点を補う土
改良用土とは
基本用土の性質をより良くするために使用される用土
改良用土はベースとして使用されることは少なく、基本用土に足りない点を補うために適量を配合して使用します。
基本用土に対して、用土の性質を変えるためにいくつかの種類を組み合わせて使用されるのが一般的ですね。
改良の例
- 保水性を良くする
⇛バーミキュライトを使用 - 排水性を良くする
⇛軽石・日向土を使用 - 保肥性を高める
⇛ゼオライト・くん炭を使用
培養土は基本用土と改良用土が混ざったもの
ホームセンターなどで販売されている土の種類をみると培養土という土がよく売られていますよね。
先に説明した基本用土や改良用土よりも目にすることが多いと思います。
培養土とは
基本用土や改良用土を特定の植物に合うように配合された用土のことを培養土といいます。
・用土のことがまだよくわからない・・・
・植え込むのにそこまで多くの土は必要ないかな。
こんなふうに思う方は培養土を使用することをおすすめします。
アガベの培養土はこちらがおすすめ!
アガベに適した用土は?
いよいよ本題に入っていきますね。
アガベの育成に適している用土とはどういったものなのでしょうか。
アガベに適した用土
- 排水性がある
- 保水性がある
- ほどよく保肥性がある
この3点が整っている用土がアガベの育成に向いています。
アガベは種類にもよりますがだいたいの種類は乾燥地帯や山の斜面、岩肌のくぼみなどに生息しています。
用土が少なかったり風が吹いていて土が乾燥している環境で生息しているため、水はけのいい用土を好みます。
ですが、成長には根っこを育てることが大切なため用土には水分を保たせる必要があります。
また、肥料も成長するために必要ですが、自生地でもどちらかというと痩せた土地で成長しているため、多少肥料保ちがいい土が好ましいです。
アガベとはどういう植物かこちらで解説しています
初心者の方はシンプルな用土で育てるのがおすすめ
アガベをこれからはじめる・はじめて間もない初心者の方はアガベがどうやって成長していくのかがわからないものですよね。
そのためまずは成長の過程を理解するためにもシンプルな用土にすることをおすすめします。
一番わかりやすい配合割合は
- 赤玉土(小粒):1
- 鹿沼土(小粒):1
- 軽石(小粒):1
この3種類を同じ量で配合してみましょう。
シンプルな用土で育ててみることで、自分の育成環境での改善点がわかります。
例えばですが、日当たりがとても良いためよく水切れをするなら赤玉土の割合を増やしてみたり。
逆に日照時間が短くてなかなか土が乾かないなら軽石の割合を増やしてみるなど、
徐々に育成環境によって用土を変えていくのが園芸の楽しみでもあります。
アガベを育てる基本用土のおすすめは赤玉土
アガベに向いている基本用土は結論からいうと赤玉土がおすすめです。
アガベを育成する土の条件として排水性の良い土という点で
- 赤玉土
- 鹿沼土
- 川砂(桐生砂)
この3つが候補としてあげられます。
この中でも赤玉土は排水性・保水性・保肥性すべてが揃っているんです!
色々な趣味家の方や生産者の方の用土を見てもベースはやはり赤玉土を使用しているのがほとんど。
ということは赤玉土はアガベに向いている土なんでしょうね。
なので、初心者の方であれば赤玉土をベースに用土を作成することをおすすめします。
赤玉土についてもう少し詳しく解説します!
赤玉土のデメリット
全体的に万能な土と思われる赤玉土ですが当然メリットとは反対にデメリットもあります。
まずはデメリットから。
赤玉土のデメリット3点
- 崩れやすい
- 保水しすぎてしまう
- リン酸を使えなくしてしまう
1.崩れやすい
赤玉土は粒状になっていますが年月が経つと粒が崩れてきます。
粒が崩れてしまうと元の赤土に戻ってしまうため、団粒構造の機能を失い排水性・通気性がめちゃくちゃ悪くなります。
写真のように指で少し強く押すと潰れるくらいの強度です。
Q.団粒構造ってなに?
A. 土の粒子が固まって小粒の集合体を作りそれが集まっている状態のことを言います。
粒が大きいとその分隙間が開くため、空洞がふえて排水性・通気性が良くなります。
2.保水しすぎてしまう
保水性があるという点はメリットでもありデメリットでもあります。
赤玉土は他の用土に比べても保水力のある土なのでなかなか水が切れません。
そのため用土が乾きづらくなり根腐れを起こす原因にも・・・。
こういった点から乾燥をよく好む植物にはあまり向かないという点もあります。
3.リン酸を使えなくしてしまう
赤玉土は土の中に鉄分が含まれているので赤褐色にみえます。
この鉄分やアルミニウムを含んでいる土は土の中のリン酸を好んでくっつけようとする性質があり、
くっついたリン酸は植物が吸えないリン酸に変化してしまいます。
リン酸は肥料分で一番大切な窒素・リン酸・カリという成分の中の1つ。
花や実をつけやすくしたり、根っこの伸びをよくする働きがあります。
これは不足してしまっては大変・・・。
解決する方法
- 肥料分のリン酸が多いもの(山形)を使う
- 腐葉土・バーク堆肥をいれることで腐植酸の効果でリン酸の吸収を防ぐ
- 珪酸塩白土をいれることで赤玉土より先にリン酸を捕まえて植物に渡せる
赤玉土が多い場合はこれらの対策をとる必要があります。
デメリットもありますがメリットの部分が大きいので個人的には赤玉土を基本とした用土がおすすめです。
リン酸が多く含まれている肥料はこちらがおすすめです
赤玉土のメリット
次はおすすめするメリットを解説していきます。
赤玉土ベースがいい理由5点
- 赤玉土は排水性・保水性・保肥性がある
- 比重が重い
- 弱酸性なので育成に適している・改良用土との組み合わせやすい
- とても入手しやすい
1.赤玉土は排水性・保水性・保肥性がある
赤玉土とは、関東平野の火山灰層である「関東ローム層」の赤土をふるいにかけて粒子を揃えた土です。
粒子を揃えているという点から隙間ができて団粒構造になり、排水性がよくなっています。
また、赤土自体は水を含むと粘土質になってしまうほど水をよく含みます。
赤土を粒状にしたものが赤玉土なので赤玉土も鹿沼土に比べて保水性はとてもよいです。
排水性がいいのに保水性もいいというのはこういう点なんだね。
保肥力が高いのも特徴の1つ。
保肥力がない土を使うと、せっかくあげた肥料が全部水で流れ出てしまいます。
赤玉土は肥料を捕まえておく力(保肥力)が強い土。
なので、たくさん肥料をあげる必要がなくなります。
2.比重が重い
赤玉土は他の用土に対して重い土です。
人間からすると用土が軽いほうが鉢も軽くなるため運ぶのにとても楽です。
ですが、用土の比重が重いというのは植物からするとしっかり根をはるためには大切なこと。
アガベは地面などに着生し、太い直根を伸ばして根を張り巡らせていく植物。
そのため水苔や比重の軽い鹿沼土よりも赤玉土を基本用土と考えたほうがいいでしょう。
3.弱酸性なので育成に適している・改良用土を組み合わせやすい
同じ性質を持つ水苔はやや酸性に傾きすぎています。
そのため改良用土でpH調整が必要かと思われますが、改良用土を組み合わせようとしても水苔はふわふわとした形状なためなかなか難しい・・・。
一方赤玉土は一般的なゴロゴロとした土なため、改良用土と組み合わせやすい形状をしています。
4.とても入手しやすい
赤玉土はとても入手しやすい土なんです。
お近くのホームセンターや園芸店など大抵のお店で販売しています。
そのためとても入手しやすい用土です。
赤玉土について詳しく解説している動画の紹介
赤玉土を詳しく知りたい方はこちらの動画がおすすめです!
園芸Youtuberで有名な「カーメン君」が赤玉土について詳しく解説しています。
赤玉土はどんな植物にも使われる用土なので知識があったほうが園芸の幅が広がりますよ!
外での地植えは川砂や山砂を基本用土にしている方も
基本用土は赤玉土ベースがいいと言いましたが、地植えをする際は川砂や山砂を使用している方も多いようです。
それはこういった問題点があるから。
地植えでの赤玉土の問題点
- 保水性が高すぎてしまう
- 経年劣化で粒が崩れてしまう
- 量が必要なためコストがかかる
屋外では直接雨が振ったり、植物に対して用土の量がたくさんあるため赤玉土では保水性が高すぎてしまいます。
そのため、用土の乾きが悪い・水はけが良くないといった問題点も出てきます
また、地植えで育てると数年~数十年と長い期間その場所で育てるため、赤玉土は粒が崩れてしまいただの赤土になってしまいます。
こうなると団粒構造が失われて排水性がとても悪くなり、水はけが最悪な状態に・・・。
そのため、崩れてドロ状にならず、排水性の良い川砂や山砂を基本用土に使用している方が多いです。
改良用土は通気性・排水性と保肥性を持たせるものを
改良用土については人によって組み合わせが全然違います。
考え方としては基本用土の不足している点を改良用土で補ってあげる感じです。
アガベに適した用土でお伝えした通り
- 排水性がある
- 保水性がある
- ほどよく保肥性がある
という点を改良用土で補ってあげる必要があります。
アガベに関しては赤玉土・鹿沼土だけだと保水性が高くなってしまうため、排水性を上げる改良用土は必ずといっていいほど配合されていますね。
排水性を良くする改良用土
排水性を良くする用土
- 軽石
- 日向土
- 富士砂
- バーミキュライト
- 黒曜石パーライト
主に使用されるのが軽石・日向土で割合でいうと基本用土と同じか少し少ないくらい。
人によってはさらに水はけを良くするために基本用土より多くいれる場合もあります。
保肥性を良くする改良用土
赤玉土も保肥性はありますが、もう少し上げるため次の用土が配合されます。
保肥性を良くする用土
- バーク堆肥
- ピートモス
- バーミキュライト
- ゼオライト
- くん炭・木炭
バーク堆肥・ピートモスの有機物とバーミキュライト・ゼオライトの無機物が肥料持ちを良くします。
有機物は分解が進むと保肥性が向上しますが、無機物は一定の効果が持続します。
保肥性を良くする改良用土はpHが偏っているものが多いためよく確認して使用しましょう。
酸度を調節する改良用土
酸性を中性寄りにする用土
- くん炭
- 木炭
- 竹炭
用土が酸性に傾き過ぎてしまった場合に使用される用土です。
強いアルカリ性の性質を持っているのでたくさんいれる用土ではありません。
こちらは割合でいうと全体の10~15%くらいがいいと言われています。
アルカリ性寄りの改良用土なので酸性を中和してくれます。
入れすぎには注意しましょう。
アガベに使われる改良用土
そうはいってもいろいろあってどの改良用土を使えば良いのかわからないよ・・・。
自分も初心者のときにそう思ったよ。
なので、この辺を使えば良いというのをピックアップするよ。
鉢管理によく使われる改良用土
- 軽石or日向土
- 富士砂
- 黒曜石パーライト
- 腐葉土
- バーク堆肥
- ゼオライト
- バーミキュライト
- くん炭
鉢管理の利点は移動ができる点。
場合によっては室内にいれることもあるため動物系堆肥を使うと臭いが気になります。
そのため、堆肥を使用する場合は腐葉土やバーク堆肥などの植物性堆肥が使用されます。
また、鉢内の少ない用土で機能的に作るために、無機物のパーライトやバーミキュライト・ゼオライトなどを入れて用土の効率を良くする工夫をしています。
地植えによく使われる改良用土
- 軽石or日向石
- 腐葉土
- 牛ふん堆肥
- 鶏ふん堆肥
- バーク堆肥
- くん炭
地植えの用土は元々の地面に微生物がいるため、腐葉土や動物性堆肥などの有機物を改良用土としていれていることが多いです。
また、基本用土に赤玉土・鹿沼土を使用している場合は水持ちが良すぎるという点から軽石・日向土を改良用土で入れている方が多いです。
筆者の配合用土の例
適した用土やおすすめの用土を聞いたけど配合するとなるとイマイチどうすればいいのかわからないね。
そうだよね。
参考になるかわからないけど育成環境と自分が今使っている用土の配合例を紹介してみるよ。
筆者の育成環境
- 庭は南向き、夏場は日当たりがとても良い
- 建物の無い吹き抜けになっているので風通しが良い
- 用土の乾き具合は、春・秋は5日、夏は2・3日くらい
- 冬は大体の株は室内管理
- 水やり頻度はあまり多くない
こういった環境で育成しています。
自作の培養土の配合例
- 赤玉土小粒4
- バーク堆肥入り培養土2
- 日向土小粒3
- ゼオライト0.5
- 園芸用木炭0.5
なぜこの用土がいいのかという経緯は、以下の記事で経緯も含めて解説しています。
趣味家さん・販売者さんの用土配合の参考動画
自作のアガベ用土の配合に関してYoutubeで紹介されている方をご紹介。
アガベ趣味家ROUKAさんの配合
まずはアガベの趣味家さんでいろいろな品種を育成していて、知識がとても豊富で主に育成の参考にさせてもらっている「ROUKA」さんの配合です。
ROUKAさんの配合用土と割合
- 硬質赤玉土(二本線)小粒:2
- 日向土(ボラ土)小粒:5
- バーミキュライト:2
- 木炭(KUMEYA製):1
※割合は同じ容器で入れている量です
配合割合をみるとかなり排水性が良い配合割合ですね。
土が乾くのがとても早そうなので水やり大好きな方にピッタリな配合かと思います。
T Plants Laboさんの配合
次に、アガベ・ユッカなどの生産・輸入・販売をされているT Plants Laboの「イグちゃん」さんの配合動画です。
イグちゃんさんの配合用土と割合
- 赤玉土:21L
- 日向土:18L
- ゼオライト:3L
- 粒状の炭:3L
※動画の割合はハウス管理を前提として解説。
鉢管理では赤玉土を3分の2ほどに減らすと解説しています。(14Lくらい)
土の量で解説しているためわかりづらいかもしれませんね・・・。(^^;
ざっくりで説明すると、
- 赤玉土と日向土を1:1で配合
- 赤玉土・日向土の量の15%の量のゼオライトと炭を配合
という感じですね。
動画を見ていただいてもわかりますが、長く育成されている方達は最終的にシンプルな用土になっていくようです。
紹介されている用土は4種類くらいの手に入れやすい用土での配合となっているので初心者の方でも真似しやすくおすすめです。
自分も3年目で同じ考え方の用土になってきました。
基本用土の種類
基本用土とされる土は以下の種類があります。
自分が育成するアガベ・塊根植物によく使われるものから順に紹介します。
- 赤玉土
- 鹿沼土
- 川砂(桐生砂)
- 山砂(真砂土)
- 水苔
- 荒木田土
- 黒土
この中から基本用土を選んでいきます。
アガベや塊根植物は排水性の良い用土がよく使われるため、
- 赤玉土
- 鹿沼土
- 川砂(桐生砂)
これを基本用土に使用していることが多いです。
基本用土の3つの特性とpHの比較
たくさんある基本用土を
3つの特性
- 通気性
- 保水性
- 保肥性
と、pH(ペーハー)で比較してみました。
Q.pH(ぺーはー)とは?
A. 水素イオン濃度のことをいい、pHと表示されます。
7.0が中性を表し、数字が低くなると酸性寄り高くなるとアルカリ性寄りになります。
植物の大体の品種は酸性寄りの土を好む傾向があります。
酸性寄りを赤色、アルカリ性寄りを青色、中性を黒色で表しています。
基本用土それぞれの特性
用土名 | 通気性 | 保水性 | 保肥性 | pH(中性7.0) |
赤玉土 | 5.0–6.0 | |||
鹿沼土 | 4.0–5.0 | |||
川砂(桐生砂) | 6.0-7.0 | |||
山砂(真砂土) | 5.0–6.0 | |||
水苔 | 4.5–5.0 | |||
荒木田土 | 5.5–6.5 | |||
黒土 | 5.0–6.0 |
基本用土はたいていの植物が好む酸性寄りのものがほとんど。
赤玉土・水苔は通気性・保水性・保肥性どれにも優れています。
それ以外の用土はそれぞれ得手不得手がありますね。
改良用土の種類
改良用土とされる土は以下の種類があります。
- 腐葉土
- バーク堆肥
- 堆肥
- ピートモス
- ココピート
- パーライト
- 軽石
- 日向土(ボラ土)
- 富士砂
- バーミキュライト
- ゼオライト
- くん炭・木炭
アガベによく使用されるものをあげてみました
これ以外にもたくさん種類があります
また、これらの改良用土は、
2種類の改良用土
- 有機物
- 無機物
に分けられます
有機物は微生物を利用して土を良くする
有機物は微生物の力を利用して用土を改良していく資材です。
微生物の働きで起きる3つの効果
- 団粒構造を形成し、用土の通気性・排水性を良くする
- 微生物が有機物を植物が取り込むことができる無機物に分解する
- 植物に良い働きをする微生物が増えることで、病害虫を発生させずらくする
このような働きがあります。
団粒構造を形成し、用土の通気性・排水性を良くする
土の中の微生物は有機物を餌として食べることによりのり状のようなものを出します。
こののりが土の粒子をくっつける働きをして土の団粒構造を形成することで通気性・排水性が良くなります。
微生物が有機物を植物が取り込むことができる無機物に分解する
有機物のままでは植物は栄養素を取り込むことができません。
微生物が有機物を分解することで、植物が根から吸収できる無機物の養分である硝酸態窒素(しょうさんたいちっそ)という物質に変化してくれます。
この硝酸態窒素を植物が取り込むことで、光合成の養分として使われて植物が体を作れるようになります。
Q.硝酸態窒素とは
A. 植物が栄養素として取り込むことができる窒素のこと。
窒素は空気中や土中にも含まれていますが、そのままだと植物が取り込むことができません。
微生物による有機物の分解を経て、硝酸態窒素が作られ植物に取り込まれます。
植物に良い働きをする微生物が増えることで病害虫を発生させずらくする
土壌が豊かになることで植物に良い効果を与える有用菌の数が増えます。
有用菌は拮抗という性質から増えすぎる他の微生物に対抗するために、抗体を作り数を減らす作用もあります。
そのため病害虫の発生を抑えてくれる効果も期待できます。
有機物のデメリット
いい効果をいろいろと紹介しましたがもちろんデメリットもあります。
有機物のデメリット
- 微生物が分解しないと効果が出ないので時間がかかる
- 植物や動物由来のものなのでニオイにより虫や鳥の被害が発生しやすい
- 種類やメーカーによって分解速度が違うので配合にある程度知識が必要
- 有機物が分解される際に発生するガスにより植物の根にダメージを与えてしまう
- 微生物の働きで栄養素を作るため用土に対する栄養素の含有量がわかりづらい
このような点があげられます。
有機栽培はとてもメリットがあるけどちゃんとした知識がないとうまく育成にいかせないのでとても難しそう・・・。
自分も有機物は今勉強中なんだ。
現在の配合用土にも多少入れているけど効果があればいいなというお祈り感覚で入れてるよ。
無機物は鉱物が原料なので無菌で清潔
次は無機物についてです。
無機物は鉱物や火山灰が原料となっている用土です。
無機物のメリット
- 鉱物や火山灰が原料なので無菌で虫が発生しない
- 特性がはっきりしているので使いやすい
- 根が伸びづらいのでコンパクトに育つ
室内で育てるものやコンパクトに育てたい株などに使いやすいね
無機物のデメリット
- 硬い素材が多いため根っこが伸びづらく大きく育てづらい
- 保肥性のあるものが少ないので量が多いと肥料不足になる
逆に大きく育てたいものにはたくさん使いすぎると良くない点もあるね
改良用土の3つの特性とpHの比較
改良用土も通気性・保水性・保肥性の3つの特性とpHで比較してみました。
酸性寄りを赤色、アルカリ性寄りを青色、中性を黒色で表しています。
改良用土それぞれの特性
用土名 | 通気性 | 保水性 | 保肥性 | pH(中性7.0) | 有機・無機 |
腐葉土 | 6.0-7.0 | 有機 | |||
バーク堆肥 | 5.5–7.5 | 有機 | |||
牛ふん堆肥 | 9.6 | 有機 | |||
鶏ふん堆肥 | 8.9 | 有機 | |||
ピートモス | 3.5–4.5 | 有機 | |||
ココピート | 5.5–7.0 | 有機 | |||
パーライト(黒曜石) | 8.0–8.5 | 無機 | |||
パーライト(真珠岩) | 7.0 | 無機 | |||
軽石 | 5.5–6.5 | 無機 | |||
日向土 | 6.0 | 無機 | |||
富士砂 | 6.0 | 無機 | |||
バーミキュライト | 6.5-7.0 | 無機 | |||
ゼオライト | 6.0–8.0 | 無機 | |||
木炭・くん炭 | 8.0–9.0 | 無機 |
よく使われる用土の特性を評価で表しています。
基本用土に改良用土を足したり引いたりして配合を考えてみましょう。
改良用土はpHの偏りが高いものが多いので入れすぎないように注意してくださいね。
まとめ|いろいろな用土があるけど最初はシンプルな用土を使おう
本記事はこのような内容でした。
この記事の内容
解説をしてきましたが、初心者の方は用土の特性もなかなか理解できないと思います。
記事内でも書きましたが、まずは赤玉土・鹿沼土・軽石を同じ分量で配合して育ててみてください。
育てている人の家の日の当たり方・風の当たり方・気温など育成環境によって用土は変更していくものです。
基準がわからないと変更すべき点も見えてきません。
まずは試してみて自分の環境にあった用土を探求してみてください!
この記事が誰かの参考になれば幸いです。
アガベの育て方に関する記事はこちら
コメントをどうぞ